ともたろう日記

趣味の映画をきっかけに、さまざまなことについて考えます。

週末おすすめインド映画「あなたにいてこそ」

f:id:TOMMKICHI:20210228143339j:plain

感想★4つ ★★★★☆

★1つ 駄作、みたら負け

★2つ 時間の無駄になるかも

★3つ 普通、逆に心に残らないかも

★4つ みんなにおすすめ!

★5つ 傑作 見なきゃ人生損するレベル

 

≪こんな人におすすめ≫

・週末にみる映画を探している人

・インド映画に興味がある人

・バーフバリを見て楽しめた人

・映画を見たい全ての人

 

CAST

スニール ラーム役

1974年、アーンドラ・プラデーシュ州生まれ。
小学生の頃から映画を見てダンサーに憧れ、地元のダンス コンクールで賞を穫る。
1995 年に映画界入り。喜劇的な役柄で頭角を現し、大ヒットした本作『あなたがいてこそ』で地位を確立する。2004年、Filmfare Awardsでベストコメディアン賞を受賞。

サローニ アパルナ役(ラミニドゥの娘)

1977年、マハーラーシュトラ州生まれ。父親は税関職員。
女子大で心理学を学び、卒業後アショク ・ クマール演技演劇アカデミーに入る。 テレビドラマやコマーシャルに出演しキャリアを積む。 テルグ語カンナダ語ヒンディー語タミル語の映画に出演。 ボリウッド映画では『Dil Pardesi Ho Gaya』(03)、『Saawan』(06)に出演。素晴らしいパフォーマンスを見せる彼女は、最もホットな女優の一人として注目されている。

ナジ二—ドゥ ラミニドゥ役

スプリート マッラスーリ役(ラミニドゥの長男)

ヴェーヌゴーパール パイレッディ役(ラミニドゥの次男)

ブラフマージー アパルナの従兄


STAFF

S.S.ラージャマウリ 監督・脚本

1973年生まれ。
テレビドラマの監督からスタートし、長編劇映画の初監督作『Student No.1』(01)で興行的成功を収める。以降、メジャー俳優を主役にした大型娯楽作品を発表。『Magadheera』(09)では、これまでのテルグ映画の各種の記録を塗り替える大ヒットとなる。ストーリーテリングの巧みさから、その作品が他言語圏でリメイクされることも多く、中でも『Vikramarkudu』(06)は4言語5作品にリメイクされた。さらに『Eega』は初の多言語同時制作となるなど、テルグ映画界きってのヒットメーカーにしてスター監督である。昨年日本で公開された『マッキー』が話題となる。

M.M.キーラワーニ 音楽

C.ランプラサード 撮影

R.ラヴィンダー 美術

ピーター・ハイン アクション

コタギリ・ヴェンカテスワラ・ラオ 編集

ショーブ・ヤーラガッダ、プラサド・デヴィネーニ 制作

※公式サイトより転載

《あらすじ》

幼い頃、母に連れられて故郷を離れたラームは、対立する二つの家族間の抗争で父親を亡くすというつらい過去を持っている。大都市ハイダラバードで荷物配達の仕事をしているが、故郷での一件は全く知らされずに大人になった。ラームは貧しくても明るく楽しく働いていたが、愛用の古自転車の効率が悪く、仕事をクビになってしまう。そんな時、故郷の広大な土地を相続していたとの知らせが来る。土地を売るため故郷に戻る列車の中で、アパルナという美しい娘と出会い意気投合する。しかし彼女は、亡くなった父親の宿敵ラミニドゥの娘だった。土地を売るためにはラミニドゥの力を借りなければならないことを知り、会いに行くのだが、そこには驚くべき事態が待ち構えていたのだった・・・

※公式サイトより転載

 

www.u-picc.com

《感想》

言わずとしれたバーフバリ二部作の監督S.S.ラージャマウリにより、2010年に制作されたインド映画。かなり前にAMAZONでDVD購入していましたが、パッケージから普通のラブストーリーかなぁ・・・とか思って見ずに放置しておりました。

しかし!「あなたがいてこそ」というタイトルからは全く想像できない、殺人一族に命を狙われるというかなりハードな映画で良い意味で裏切られました。

あなたがいてこそ」ってセリフは劇中で主人公が発する言葉ですが、まったくそんな映画ではありません笑。むしろ、主人公ラームは自分の命を守るためにヒロインアパルナが従兄弟と結婚するように仕向けようとしたりします。

この主人公、終始恋どころではありません。なにせ、田舎町を牛耳る殺人一族に命を狙われているのですから。

 

殺人一族の家長ラミニドゥは一見すると穏当で伝統を大切にするジェントルマンな地主といったところ。しかし、一族の仇ラームに対しては敵意を剝き出しにします。

このギャップが非常に恐ろしい。

全体的にはコメディタッチなのですが、殺人一族が容赦なく人を殺したりする描写は結構ホラーです。このあたりのバランス感覚はインド映画特有ですね・・・

もちろん、唐突に始まるダンスシーンなども楽しめる。インド映画を見慣れてくると、逆にこれがなきゃ物足りない笑。

 

一族の伝統で、家の中ではラームを殺せないラミニドゥ。殺人は厭わないのに伝統は忠実に守るラミニドゥ、さすがです。

逆にそれを知ったラームは、家から出ないようにあの手この手です。

 

インド映画でいつもいいなぁと思うのは、展開が湿っぽくないこと。

ラスト、ラームとアパルナが結ばれ殺人一族に赦される展開はまさに急転直下。油断すると展開に置いて行かれます!最終的にはハッピーエンドで映画が終わるのですが、人の良いラームがこの先殺人一族とうまくやっていけるか心配になります。

 

ちょっと気になったのは、ちょくちょく映像がカットされているところ。映画のテレビでスターウォーズがカットされてる時の違和感ですね。

インド映画って大体3時間ぐらいの長い映画が多いので仕方ないのかもしれませんが、面白い映画であればあるほど完全版をみたくなります。

 

インド映画に馴染みのない人にはちょっと癖が強いかもしれませんが、そういう人はまずS.S.ラージャマウリ「バーフバリ」2部作から初めてみましょう!

インドの王朝を舞台にした壮大な物語で、アクションありダンスありの超大作なので間違いなくおすすめの一本です!

www.baahubali-movie.com

 

以上

テルアビブ・オン・ファイア

f:id:TOMMKICHI:20210227194008j:plain



みなさん、こんにちは!

これが初めてのブログ記事です。

 

そういえば、日本語って時間に関係ない挨拶って馴染みがないですよね。

英語だったらHelloとか、ハワイならAlohaとかいつでも使えるのに(どちらも英語か・・・)。

あえて言うなら、「やぁ」とか「ごきげんよう」とかかな。まぁ「こんにちは」が一番無難なのかな。

最近はラジオでもストリーミングで聞く時間がまちまちになってて、ラジオDJが全時間帯向けに挨拶してたりして大変だなと思ってました。

いきなり、どうでもいいこと書いてしまった。

 

ということで、今回紹介したい映画はこれ。

「テルアビブ・オン・ファイア」

パレスチナイスラエル人のサメフ・ゾアビ監督が、複雑なパレスチナ情勢を皮肉とユーモアに包んで描いたコメディドラマ。1960年代の第3次中東戦争前夜を舞台にした人気メロドラマ「テルアビブ・オン・ファイア」。その制作現場でインターンとして働くパレスチナ人の青年サラムは、撮影所へ通うため毎日イスラエルの検問所を通らなくてはならない。ある日、妻がドラマの大ファンだという検問所の主任アッシから脚本のアイデアをもらったサラムは、制作現場でそのアイデアを認められて脚本家へと出世するが……。(映画.comより引用)

 

いきなりマイナーな映画の紹介となりましたが、とにかくこの映画を紹介したかったんです。この映画を紹介するためにブログを始めたといっても過言ではない。

といっても、「これが人生ベスト映画!」とか、「オールタイムベスト!一生大切にしたい映画!」とか、「既に今年のベスト!俺の映画だ!」とかのテンションの映画では全くありません。普通に良い映画だったな〜ぐらいのテンションでおすすめしてます。

でもね、「普通に良い映画だったな〜レベル」が過去最高に高いんです、この映画!

(初心者なのでおかしなこと書いていてもご容赦ください)

 

《この映画はこんな人におすすめ》

・休日の昼間に予定がなくて、気軽に見れる映画を探している人

・最近できた恋人と家でみる映画で絶対に外したくない一本を探している人

・映画を見たいと思っているすべての人

 

《すこし詳しめのあらすじ》

主人公、サラームはおじさんのコネで撮影現場のアシスタントをしています。サラームはさえない中年男性。これといった才能もなく、たゆまぬ努力を積み重ねたわけでもない。

仕事をやめて、家でぼーっと過ごす息子サラームを見かねた母親が、プロデューサーをしている兄に頼み込んで今の仕事を得たのでしょう(想像です)。

サラームは撮影現場でヘブライ語のアドバイザーを務めます。が、現場ではセットにものをぶつけたり、おじさんにお金をせびったり、空気を読まずにしゃしゃったりと馴染めてない感じが強い。日本だと英語や他の言語ができるだけで「天才!!」みたいになりますが、海外だとこんな扱いなんですかね。

そんなサラームに転機が舞い込むのが、イスラエルの検問所司令官アッシとの出会い。このあたり複雑ですが、サラームはパレスチナ人で東エルサレムに住んでいるので、撮影現場のあるラマッラーに行くには必ず検問所を通らないと行けないんですよね。

サラームは検問所を通る際の何気ない一言で、司令官アッシのもとに連行されます。口は災いのもとですが、この一言が彼の運命を大きく変えていきます。

 

アッシはイスラエルの軍人で、人気番組テルアビブ・オン・ファイアの脚本家を名乗るサラームに興味を持ちます。彼の奥さんがこの番組のファンだったのです。

公私混同したこの軍人は、意外にもストーリーテリングの才能があり一方的にサラームへ脚本の変更を指示します。

アッシの助言をきっかけにサラームは撮影現場で認められ出世していくことに。しかし、徐々に制作側の意向(アラブ側)とアッシの意向(イスラエル側)は対立していき、サラームは両者に板挟みになっていき追い詰められることに・・・

 

《映画を見た感想》

この映画、平たく言うと主人公サラームの成長譚で、アッシは主人公を導くメンターの役割にあたります。STARWARSでいうと、サラームがルークでアッシがヨーダやオビ・ワンですね。パダワン・サラームとマスター・アッシの物語です。

サラームは徐々に自身の才能を開花し、脚本家として急成長します。

サラームがどんどん成長していく姿は、人によってはご都合主義に見える部分かもと思います。あんなさえないやつに、こんなことできるわけない、と。

でも、誰かに認められるがきっかけに才能を開花させるってことは絶対にありますよね!サラームは裕福な家で育ったけど、周囲からは何もできないやつだと思われ続けて育ちました。恐らく、家族にも幼馴染にも。何より自分で自分をそう思っていたはず。

そんな彼が、誰かに認められることをきっかけに心のブレーキが外れたのかもしれません。もしくは、単純に褒めて伸びるタイプだったか。

アッシは一見するとフムス好きのミーハーな軍人で、知らず識らずサラームを出世させます。しかし、彼は私利私欲でしか動かない上に最強イスラエルの軍人。見返りに要求する内容は実にくだらないのに、権力をフル活用した脅しはシャレにならないレベル。追い詰められていくサラームはあまりに理不尽で、助けであったアッシが最大の障害となっていくのもこの映画の面白いところです。

 

《この先、若干のネタバレあり注意》

「攻撃するか降伏しかないのか?」

この映画でもっとも印象深いセリフですが、背反する2つの対立軸に対してサラームは第三の道を探ることになります。

正直、ラスト間近では、もうこれ無理ゲーじゃんと思いました。

制作陣とアッシ以外にも、ベテラン女優や駆け出し女優、恋心を寄せる幼馴染などが登場しますが、みんなの意見や希望はばらばら。

それでも、サラームは誰かを切り捨てる、誰かの側につくのではなく、第3の道を探っていきます。

そして、ラスト。ドラマ「テルアビブ・オン・ファイア」がクライマックスに近づくにつれて彼は追い詰められていきますが、誰もが驚く結論を彼は導き出します。

このラストの展開はぜひ、皆さんに見て確認いただきたいです。

第3の道を探り出し実現したサラームの手腕は見事としか言いようがなく、それがそのままこの映画の爽快感につながります。

エンディングの切れ味も抜群で、ストーリー自体はだらだら描かずスパッと完結させ、登場人物のその後の人生の広がりをある映像で期待させる監督の手腕は見事だと感じました。

100点満点でアカデミー賞受賞できる!みたいな映画では決してありませんが、80点満点で85点の誰もが楽しめる素晴らしい映画なのは間違いありません。

ちなみに、既にTSUTAYAなどでは準新作レンタルとなってました。AMAZONでもレンタル可能なので、とても気軽に楽しめて自信を持っておすすめできる一本です。

 

以上