ともたろう日記

趣味の映画をきっかけに、さまざまなことについて考えます。

テルアビブ・オン・ファイア

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みなさん、こんにちは!

これが初めてのブログ記事です。

 

そういえば、日本語って時間に関係ない挨拶って馴染みがないですよね。

英語だったらHelloとか、ハワイならAlohaとかいつでも使えるのに(どちらも英語か・・・)。

あえて言うなら、「やぁ」とか「ごきげんよう」とかかな。まぁ「こんにちは」が一番無難なのかな。

最近はラジオでもストリーミングで聞く時間がまちまちになってて、ラジオDJが全時間帯向けに挨拶してたりして大変だなと思ってました。

いきなり、どうでもいいこと書いてしまった。

 

ということで、今回紹介したい映画はこれ。

「テルアビブ・オン・ファイア」

パレスチナイスラエル人のサメフ・ゾアビ監督が、複雑なパレスチナ情勢を皮肉とユーモアに包んで描いたコメディドラマ。1960年代の第3次中東戦争前夜を舞台にした人気メロドラマ「テルアビブ・オン・ファイア」。その制作現場でインターンとして働くパレスチナ人の青年サラムは、撮影所へ通うため毎日イスラエルの検問所を通らなくてはならない。ある日、妻がドラマの大ファンだという検問所の主任アッシから脚本のアイデアをもらったサラムは、制作現場でそのアイデアを認められて脚本家へと出世するが……。(映画.comより引用)

 

いきなりマイナーな映画の紹介となりましたが、とにかくこの映画を紹介したかったんです。この映画を紹介するためにブログを始めたといっても過言ではない。

といっても、「これが人生ベスト映画!」とか、「オールタイムベスト!一生大切にしたい映画!」とか、「既に今年のベスト!俺の映画だ!」とかのテンションの映画では全くありません。普通に良い映画だったな〜ぐらいのテンションでおすすめしてます。

でもね、「普通に良い映画だったな〜レベル」が過去最高に高いんです、この映画!

(初心者なのでおかしなこと書いていてもご容赦ください)

 

《この映画はこんな人におすすめ》

・休日の昼間に予定がなくて、気軽に見れる映画を探している人

・最近できた恋人と家でみる映画で絶対に外したくない一本を探している人

・映画を見たいと思っているすべての人

 

《すこし詳しめのあらすじ》

主人公、サラームはおじさんのコネで撮影現場のアシスタントをしています。サラームはさえない中年男性。これといった才能もなく、たゆまぬ努力を積み重ねたわけでもない。

仕事をやめて、家でぼーっと過ごす息子サラームを見かねた母親が、プロデューサーをしている兄に頼み込んで今の仕事を得たのでしょう(想像です)。

サラームは撮影現場でヘブライ語のアドバイザーを務めます。が、現場ではセットにものをぶつけたり、おじさんにお金をせびったり、空気を読まずにしゃしゃったりと馴染めてない感じが強い。日本だと英語や他の言語ができるだけで「天才!!」みたいになりますが、海外だとこんな扱いなんですかね。

そんなサラームに転機が舞い込むのが、イスラエルの検問所司令官アッシとの出会い。このあたり複雑ですが、サラームはパレスチナ人で東エルサレムに住んでいるので、撮影現場のあるラマッラーに行くには必ず検問所を通らないと行けないんですよね。

サラームは検問所を通る際の何気ない一言で、司令官アッシのもとに連行されます。口は災いのもとですが、この一言が彼の運命を大きく変えていきます。

 

アッシはイスラエルの軍人で、人気番組テルアビブ・オン・ファイアの脚本家を名乗るサラームに興味を持ちます。彼の奥さんがこの番組のファンだったのです。

公私混同したこの軍人は、意外にもストーリーテリングの才能があり一方的にサラームへ脚本の変更を指示します。

アッシの助言をきっかけにサラームは撮影現場で認められ出世していくことに。しかし、徐々に制作側の意向(アラブ側)とアッシの意向(イスラエル側)は対立していき、サラームは両者に板挟みになっていき追い詰められることに・・・

 

《映画を見た感想》

この映画、平たく言うと主人公サラームの成長譚で、アッシは主人公を導くメンターの役割にあたります。STARWARSでいうと、サラームがルークでアッシがヨーダやオビ・ワンですね。パダワン・サラームとマスター・アッシの物語です。

サラームは徐々に自身の才能を開花し、脚本家として急成長します。

サラームがどんどん成長していく姿は、人によってはご都合主義に見える部分かもと思います。あんなさえないやつに、こんなことできるわけない、と。

でも、誰かに認められるがきっかけに才能を開花させるってことは絶対にありますよね!サラームは裕福な家で育ったけど、周囲からは何もできないやつだと思われ続けて育ちました。恐らく、家族にも幼馴染にも。何より自分で自分をそう思っていたはず。

そんな彼が、誰かに認められることをきっかけに心のブレーキが外れたのかもしれません。もしくは、単純に褒めて伸びるタイプだったか。

アッシは一見するとフムス好きのミーハーな軍人で、知らず識らずサラームを出世させます。しかし、彼は私利私欲でしか動かない上に最強イスラエルの軍人。見返りに要求する内容は実にくだらないのに、権力をフル活用した脅しはシャレにならないレベル。追い詰められていくサラームはあまりに理不尽で、助けであったアッシが最大の障害となっていくのもこの映画の面白いところです。

 

《この先、若干のネタバレあり注意》

「攻撃するか降伏しかないのか?」

この映画でもっとも印象深いセリフですが、背反する2つの対立軸に対してサラームは第三の道を探ることになります。

正直、ラスト間近では、もうこれ無理ゲーじゃんと思いました。

制作陣とアッシ以外にも、ベテラン女優や駆け出し女優、恋心を寄せる幼馴染などが登場しますが、みんなの意見や希望はばらばら。

それでも、サラームは誰かを切り捨てる、誰かの側につくのではなく、第3の道を探っていきます。

そして、ラスト。ドラマ「テルアビブ・オン・ファイア」がクライマックスに近づくにつれて彼は追い詰められていきますが、誰もが驚く結論を彼は導き出します。

このラストの展開はぜひ、皆さんに見て確認いただきたいです。

第3の道を探り出し実現したサラームの手腕は見事としか言いようがなく、それがそのままこの映画の爽快感につながります。

エンディングの切れ味も抜群で、ストーリー自体はだらだら描かずスパッと完結させ、登場人物のその後の人生の広がりをある映像で期待させる監督の手腕は見事だと感じました。

100点満点でアカデミー賞受賞できる!みたいな映画では決してありませんが、80点満点で85点の誰もが楽しめる素晴らしい映画なのは間違いありません。

ちなみに、既にTSUTAYAなどでは準新作レンタルとなってました。AMAZONでもレンタル可能なので、とても気軽に楽しめて自信を持っておすすめできる一本です。

 

以上